2023年9月17日

扉の先は

 

また、やってしまった。

中に人がいなくてよかった。

 

自分の車に似た他人の車のドアを開けようとすることが度々ある。

単なる確認不足だが、周りに持ち主がいれば一瞬即発だ。

幸い、これまでは何とか最悪の事態は避けられている。

原因は駐車した場所の忘却と思い込み。

老化が進めば、他人の車に手を出す確率がもっと増えそうだ。

いい言い訳を考えているが、なかなか妙案が思いつかない。

 

今思えばドアを間違えるのは車だけじゃない。

最も多い現場は居酒屋だ。

トイレから戻ろうとする際、たいてい隣の部屋を空ける。

中には見知らぬ酔客が盛り上がっている。

愛想笑いを浮かべながら、そっと扉を閉じる。

居酒屋の扉はどれも似すぎている。

 

家を間違えたこともある。

学生時代、二次会を後輩の家ですることになった。

曖昧な記憶で見事、後輩宅の隣の扉を開けた。

 

「だ・・・れ・・・?」

 

中にはしっかり住人がいた。

こちらも酔っぱらっていて状況をすぐに飲み込めない。

しばらく立ち尽くしたこともあり、住民にさらなる恐怖を与えてしまった。

ここが米国なら僕の命はなかった。

その恐怖体験はブログに書かれるぐらいはしたかもしれない。

 

扉はもう間違えたくない。

でも人生において、どの扉が正しいかなんて分からないのが悩ましい。